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  • 「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」(4)


    「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」(パシフィカ)の「ライヴァル紳士録」の検証です。いよいよ最終回であります。

    (21)ソープ・ヘイズル(ホワイトチャーチ)
    ソープ・ヘイズルの事件簿」が翻訳されています。



    (22)”アベレージ”・ジョーンズ(アダムス)
    「クイーンの定員」の48番ですね。
    これも翻訳はないようです。

    (23)カーナッキ(ホジスン)
    幽霊狩人カーナッキの事件簿」(創元推理文庫)など、この本は人気があっていろいろ翻訳があるようです。



    (24)ヴェニバー・ジョー(プリチャード)
    「ノヴェンバー・ジョーの事件簿」として、翻訳が出ています。



    (25)”絶対確実”のゴダール(アンダース)
    これも翻訳がないようです。

    追記:失礼しました。「怪盗ゴダールの冒険」が出ていました。

    (26)マックス・カラドス(ブラマ)
    マックス・カラドスの事件簿」が出ています。



    (27)フラックスマン・ロウ(ヘロン)
    フラックスマン・ロウの心霊探究」が出ています。



    (28)ファイロ・ガブ(バトラー)
    通信教育探偵ファイロ・ガッブ」を、私が翻訳しました。




    以上28人のシャーロック・ホームズのライヴァルたちについてまとめました。
    そのうち9人は私が翻訳し、1人は近刊予告に入っています。
    ほぼ三分の一やっちゃったということです。
    しかし単行本がないのが5人だけというのは、かなり紹介が進んでいるということではないでしょうか。
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  • 「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」(3)


    「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」(パシフィカ)の「ライヴァル紳士録」がどれだけ読めるようになったかの検証、3回目です。

    (14)ジョセフ・ルールタビーユ(ガストン・ルルー)
     これはもう言うまでもないですね。「黄色い部屋の謎」をはじめとして、簡単に手に入ります。

     

    (15)ジェームズ・R・ウォーリングフォード(チェスター)
     この本については、すでにヒラヤマ探偵文庫の腰巻きにある「近刊予告」に出しましたように、すでに原稿が出来上がっています。あとはタイミングです。
     どうぞお楽しみにしてください。

    (16)ダゴベルト(グロルラー)
     これは「探偵ダゴベルトの功績と冒険」 (創元推理文庫)として翻訳が出ました。

     

    けっこう読めるようになっていますね。嬉しいことです。

     (17)レディ・モリー(バロネス・オルツィ)
    レディ・モリーの事件簿」として、翻訳されています。著者は隅の老人と同じですね。



    (18)ハイミルトン・クリーク(ハンシュー)
    四十面相クリークの事件簿」として、翻訳が出ています。ただこれは長編版で、もともとの短編版も読みたいものですね。



    (19)アストロジョン・カーヴィ(バージェス)
    不思議の達人(上)」および「不思議の達人(下)」(ヒラヤマ探偵文庫)として、私が翻訳しました。この本に隠された暗号について研究した論文も、収録しています。



    (20)クレイグ・ケネディ(リーヴ)
    第一短編集は、なんと三種類も出ています!

    無音の弾丸」(ヒラヤマ探偵文庫 2015)
    無音の弾丸」(論創社 2017)
    クレイグ・ケネディ短編集 無音の弾丸」(EBパブリッシング 2020))


    いやはや。
  • 「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」(2)


    パシフィカの「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」に掲載された「ライヴァル紳士録」が、現在どれだけ読めるかの検証第二弾です。

    (6)バーンズ警部(ロドリゲス・オットレンギ)
    これは、Kindle版ですが「決定的証拠」(ヒラヤマ探偵文庫)が出ています。
    いずれ紙版にしたいですね。


    (7)A・J・ラッフルズ(ホーナング)
     コナン・ドイルの義理の弟が書いた義賊もの。
    短編集は翻訳されましたが、まだ長編が残っています。

    二人で泥棒を―ラッフルズとバニー
    またまた二人で泥棒を―ラッフルズとバニー
    最後に二人で泥棒を―ラッフルズとバニー



    (8)マダム・コルシー(ミード&ユーステス)
     女賊もので、以前ネットで翻訳が公開されていましたが、現在は削除されてしまったようです。

    (9)ロムニー・プリングル(アシュダウン)
     これは「ロムニー・プリングルの冒険」(ヒラヤマ探偵文庫)として、翻訳しました。
    お買い求めは上のリンク先からどうぞ。



    (10)コンスタンティン・ディックス(ペイン)
     これはまだ翻訳がありません。

    (11)ユウゼーヌ・ヴァルモン(バー)
    ウジェーヌ・ヴァルモンの勝利」として、私が翻訳しました。またその後文庫で別訳「ヴァルモンの功績」も出ました。



    (12)ジョン・カルザース(コックス)
    「インド帝国警察カラザース」(ヒラヤマ探偵文庫)として、私が翻訳しました。残念ながら品切れです。



    (13)アルセーヌ・ルパン
     これは、ご紹介するまでもないでしょう。みなさんご存知の通りです。
  • シャーロック・ホームズのライヴァルたち(1)
    前回の記事でご紹介しました通り、「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」(中島河太郎、押川曠編、パシフィカ、1979年)を大いに参考にさせていただいています。


    その中に、「ライヴァル紳士録」というページがありまして、たくさんのライヴァルたちが紹介されています。



    1979年から現在の2023年、四十年余でどれほど紹介が進んだでしょうか。

    (1)その筆頭に上がっているのが「セクストン・ブレイク」です。
    一般出版社では、アンソロジーはともかく、一冊で出しているのは、ヒラヤマ探偵文庫だけですね。お買い求めは下の題名から飛んだリンク先でどうぞ。
    柬埔寨の月
    謎の無線通信
    ボンド街の歯科医師事件



    その次のページでは、



    (2)ザレスキー公爵は、「プリンス・ザレスキーの事件簿」が出ました。



    (3)クレイ大佐は、「アフリカの百万長者」が出版されました。



    (4)ハガー・スタンリーは、私が訳した「質屋探偵ヘイガー・スタンリーの事件簿」です。



    (5)ポール・ベックは、残念ながらいまだに翻訳は出ていないようです。



  • 『柬埔寨の月』加藤朝鳥訳

    ヒラヤマ探偵文庫のセクストン・ブレイク・コレクションは、加藤朝鳥訳の『柬埔寨の月』(ヒラヤマ探偵文庫19)から始まりました。「柬埔寨」は「カンボジア」と読みます。

    セクストン・ブレイクとは、物語の主人公セクストン・ブレイク探偵のことをいいます。彼は、イギリスのシャーロック・ホームズと並んで、探偵小説ファンにはよく知られた存在です。ただ、セクストン・ブレイクは、数々の作家によって作られた物語の主人公であり、1893年に初登場して以来、1970年代後半まで、200300人の作家たちにより、4000余りの物語が編まれたところに特徴があります。

    SF小説におけるペリー・ローダンシリーズのようなものになっています。

    今回紹介する『柬埔寨の月』は、加藤朝鳥が『週刊朝日』大正1211日号から63日号にかけて、全二十三回で連載したものを単行本化したものです。原題は”Lost in Cambodia;The Case of the Photograph Collector”(The Sexton Blake Library Ser.1 No.257,October 1922)になります。

    原作者は、ウィリアム・マレー・グレイドン(William Murray Graydon 1864-1946)。アメリカのペンシルベニア州で生まれた彼は、三十代前半に創作活動の拠点をイギリスに移しました。そこでセクストン・ブレイク作品を書き続け、1928年頃には、ブレイクの小説を100冊出版するという偉業を成し遂げました。

    「柬埔寨の月」は、セクストン・ブレイク探偵の冒険譚といってもよいでしょう。旧都プノンペンの財宝が、稀代の大悪党バシル・ウィクショウたちに盗まれてしまいました。カンボジアのサナワト王はたいへん弱ってしまい、イギリスから大探偵セクストン・ブレイクを呼び寄せました。捜査を依頼して、財宝を取り戻してもらうためです。

    元はと言えば、財宝のことを、ブレイクの友人でもあるマルコルム・グレーが、カフェーでべらべらとしゃべったことをウィクショウたちに聞かれたことが原因です。マルコルム・グレーは、ちょうどカンボジアから帰ったばかりでした。カンボジア王の姫ラオチバとのラブロマンスもあり、舞い上がっていたのです。

    ブレイク探偵は、ロンドンでウィクショウたちを追い詰めますが、しかし逃げられてしまいます。結局、ウィクショウたちはカンボジアに財宝を盗みに行ってしまいました。

    サナワト王に呼び出されたブレイク探偵と助手のチンカー。彼らのの大冒険がここから始まります。カンボジアの大自然を舞台に、彼らは飛行機に乗って大活躍をします。

    どうです? なんだか、面白そうでしょう。

    最後に、写真を二枚上げておきます。

    一枚目は、『週刊朝日』連載一回目のページ。二枚目は、原作本の表紙です。

    お買い求めは、BOOTH SHOP「ヒラヤマ探偵文庫JAPANからどうぞ。