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『柬埔寨の月』加藤朝鳥訳

ヒラヤマ探偵文庫のセクストン・ブレイク・コレクションは、加藤朝鳥訳の『柬埔寨の月』(ヒラヤマ探偵文庫19)から始まりました。「柬埔寨」は「カンボジア」と読みます。

セクストン・ブレイクとは、物語の主人公セクストン・ブレイク探偵のことをいいます。彼は、イギリスのシャーロック・ホームズと並んで、探偵小説ファンにはよく知られた存在です。ただ、セクストン・ブレイクは、数々の作家によって作られた物語の主人公であり、1893年に初登場して以来、1970年代後半まで、200300人の作家たちにより、4000余りの物語が編まれたところに特徴があります。

SF小説におけるペリー・ローダンシリーズのようなものになっています。

今回紹介する『柬埔寨の月』は、加藤朝鳥が『週刊朝日』大正1211日号から63日号にかけて、全二十三回で連載したものを単行本化したものです。原題は”Lost in Cambodia;The Case of the Photograph Collector”(The Sexton Blake Library Ser.1 No.257,October 1922)になります。

原作者は、ウィリアム・マレー・グレイドン(William Murray Graydon 1864-1946)。アメリカのペンシルベニア州で生まれた彼は、三十代前半に創作活動の拠点をイギリスに移しました。そこでセクストン・ブレイク作品を書き続け、1928年頃には、ブレイクの小説を100冊出版するという偉業を成し遂げました。

「柬埔寨の月」は、セクストン・ブレイク探偵の冒険譚といってもよいでしょう。旧都プノンペンの財宝が、稀代の大悪党バシル・ウィクショウたちに盗まれてしまいました。カンボジアのサナワト王はたいへん弱ってしまい、イギリスから大探偵セクストン・ブレイクを呼び寄せました。捜査を依頼して、財宝を取り戻してもらうためです。

元はと言えば、財宝のことを、ブレイクの友人でもあるマルコルム・グレーが、カフェーでべらべらとしゃべったことをウィクショウたちに聞かれたことが原因です。マルコルム・グレーは、ちょうどカンボジアから帰ったばかりでした。カンボジア王の姫ラオチバとのラブロマンスもあり、舞い上がっていたのです。

ブレイク探偵は、ロンドンでウィクショウたちを追い詰めますが、しかし逃げられてしまいます。結局、ウィクショウたちはカンボジアに財宝を盗みに行ってしまいました。

サナワト王に呼び出されたブレイク探偵と助手のチンカー。彼らのの大冒険がここから始まります。カンボジアの大自然を舞台に、彼らは飛行機に乗って大活躍をします。

どうです? なんだか、面白そうでしょう。

最後に、写真を二枚上げておきます。

一枚目は、『週刊朝日』連載一回目のページ。二枚目は、原作本の表紙です。

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