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"翻訳小説"カテゴリーの記事一覧

  • 翻訳小説を連載します「アナーキストの車輪」 著者前書き(マックス・ペンバートン)
    ヒラヤマ探偵文庫の愛読者の皆様のために、未公開長編小説をブログで無料公開しようと思います。
     一つ一つの章が比較的短いので、一回に一章連載でいけるのではないでしょうか。
     

     著者のマックス・ペンバートン(1863~1950)は、イギリスの冒険小説や探偵小説の作家であり、キャッセルズ・マガジンの編集者でした。彼はアーサー・コナン・ドイルやバートラム・フレッチャー・ロビンソン(1870~1907)の友人でした。ご存じのように、ロビンソンの協力で、コナン・ドイルは「バスカヴィル家の犬」を書きました。
     この本は、ロビンソンが死の床でペンバートンに託したメモをもとにして書いたものです。それについては、ペンバートンの前書きをご覧下さい。


    アナーキストの車輪

    暗殺者の物語
    新聞記事再録とブルース・インガソル氏の口述筆記による
    マックス・ペンバートン
    著者より
     この小説は故B・フレッチャー・ロビンソンの助言による。彼は親しい友人であり、その死を大いに悼んでいる。このテーマは彼本人が数年前から興味を抱いていた。そしてなくなる直前に受け取った手紙の中に、私がこのアイデアを必ず本にすると約束してくれと書いてあったのである。それをようやく実現したのが本書である。彼が残したノートに少々私の考えも付け加えたが、書き上げられたのはかけがえのない友情への感謝のおかげである。
    マックス・ペンバートン
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  • ヒラヤマ探偵文庫のBASE通販店をつくってみました
    今までは、各書店さんにお願いする以外に、BOOTHで通販をしてきました。
    ただBOOTHはあまり一般的でないというのと、会員登録が必要なのですね。
    そこでためしに、なんでも通販をしているBASEに同じような店を作ってみました。
    中身は一緒なのですが決済方法がいろいろあるのがいいようです。
    いかがでしょうか。
    使いやすいほうでお使いいただければと思います。

  • 文学フリマ大阪11に参加してきました


    大阪の皆さま、お世話になりました。無事文学フリマ大阪から帰ってきました。
    今回の新刊は



    の二冊、「ある刑事の冒険談」ウォーターズ
    「二重の影」森下雨村
    でした。
    今年は前回の1・5倍の広さになり、およそ700ブース。
    来場者も倍くらいの数になったらしいです。
    昨年も感じたのですが、大阪は元気ですね。
    これからどんどん発展していく気配がしました。
    ただ、「ある刑事の冒険談」はあまりにもマニアックすぎたかな。「二重の影」のほうが売れ行きはよかったです。一応日本でも名前が知られている作家ですしね。(いや、最近の若い方はどうか知りませんが)
    お隣になった方々、ありがとうございました。

    「新青年」研究会が最近はバーチャルでしかひらかれないので、国内小説担当の湯浅さんと会って食事をしながら、これから出す本についていろいろ相談をしました。やはり実際に会うのは大切ですね。しかもズーム会議では、他の人もいるので余計な雑談もできませんし。
    さまざまなアイデアが出てきて、おもしろい企画会議でした。
    もっともあとは、それを形にする努力と時間がどれだけあるかということなんですがww
    しかしそれを他人に任せると、またそれで面倒なことも起きてしまいますし、妥協もしなければいけません。一人親方でやっているからこそ、できることもあります。湯浅さんは国内、私は海外ということですみわけをして、まったく別々の活動をしているからこそ、忌憚のない意見も出せるということもあります。(「囁く電話」は例外です)
    なにもかも一人でやるということの利点もあり、欠点もあるのですが、商業出版でたくさんの人が関わることも経験した上で、私が出したい本はそんなにたくさんの人の手をわずらわせては申し訳ないという思いも強くなりました。そういうわけで始めたのが、ヒラヤマ探偵文庫なのです。

    他にもたくさん面白い本が手に入りました。特に横溝正史関係は、すごいですね。今一番のっています。
    さらに翻訳も頑張っているみなさんがたくさんおられます。
    どうぞみなさん、来たる11月の文学フリマ東京においでください。
  • 夏コミケお品書きができました


    これらの本を持っていく予定です。
    よろしくお願いします。
  • 大正時代の食生活
    今回は、未発表の原稿の一節をご紹介しましょう。

    大正初めの英語の日本旅行案内です。
    関東大震災以前ですので、明治時代や江戸時代の名残を残した東京で、夏目漱石や森鴎外が描いた東京でもあります。そして「鬼滅の刃」の時代でもあります。

    その中で、外国人向けに日本の食事を紹介している部分をちょっとだけ、公開します。
    当たり前に思っていることが、あー、なるほどと思うかも知れません。



     米は様々な名前で呼ばれる。男性は「メシ」といい、より丁寧な言い方は「御膳」である。またより教養のある言い方(婦人が使う)は、「ご飯」だ。
     外国人はすぐにこの非常に素晴らしい国産米を好きになるだろう。一粒一粒が優れていて、しかもちょうどいい粘り気があるので一塊として箸で持ち上げてもこぼすことがない。

    あずき飯…米と茹でた赤えんどう豆を混ぜたもの。
    餅…小さな生地状のケーキで米から作り、日本中で売っている。 
    寿司…米飯と魚、卵、野菜などからなり、酢と醤油で味づけられた食品の総称。 
    ちらし寿司…米飯に塩と酢で味をつけ、調理した魚、卵、野菜などを細かく切ったものを混ぜる。 
    箱寿司…上述の寿司を木箱に入れてプレスしたもの。 
    稲荷寿司…揚げた豆腐にちらし寿司を詰めたもの。 
    巻き寿司…米飯と野菜を巻いて、浅草海苔という海藻のシートで包んだもの。 
    蒸し寿司…ちらし寿司の一種で、陶器のボールに入れて蒸したもの。 
    握り寿司…塩と酢で味をつけた米飯の玉に、酢漬けの魚などを乗せたもの。 
    鮒寿司…鯉(鮒)が酢と塩で味付けした米飯の中に入っている(近江地方の名物)。 
    昆布寿司…酢で味付けした魚を、真昆布という食べられる海藻で包んだもの。この人気の食べ物は昆布巻とは違う。こちらは焼いた魚を昆布で巻き、縛って佐藤と醤油で煮たもの。
    その他: 
    茶碗蒸し…人気のあるシチュー(もしくはどろりとしたカスタードのスープ)で、卵、魚(または鶏肉)そして野菜が入っている。 
    茶碗…文字通りでは茶を入れるカップという意味だが、マッシュルームと薄い魚の切り身が入ったスープのこと。 
    佃煮…小さな魚を醤油で煮て、付け合わせや薬味として用いる。これをつくっているので有名な東京の佃島から名前がついた。 
    おでん…焼き豆腐、蓮根、ジャガイモなどのシチュー。労働者に人気。 
    口取り…甘い付け合わせやデザート(茹でた甘い栗、甘いオムレツのようなものなど)。 
    和え物…醤油または胡麻のペーストのサラダ。 
    香の物…大根、茄子、キャベツなどのピクルス。 
    汁粉…茹でた餅に餡(つぶした豆を砂糖で甘くしたもの)をかけた料理。 
    今川焼き…小麦粉の生地に砂糖味の豆を詰め、銅鍋で焼いたもの。この名前は、最初に作られた東京にある今川橋から取られた。庶民の子供に人気。外国人はこの菓子がちゃんと作られているかどうか注意が必要である。最近の首都圏の新聞によると、露天で食べた百人以上が中毒を起こしたそうだ。 
    煎餅…硬焼きビスケット(もしくは日本のクッキー)で、米か小麦粉で作られている。塩を加えると塩煎餅と呼ばれる。



    今川焼きで食中毒なんて、びっくりです。火が通っているはずなのに。もしかしたら、作ってからよほど時間がたっていたのでしょうか。それとも汚い手で触ったのでしょうか。