いよいよ今度の土曜日11月11日は、文学フリマ東京になります。
前回のブログで、平山さんが告知されたように、ヒラヤマ探偵文庫の国内版では、三上於菟吉「美女舞踏」を発行します。A5判38ページのパンフレットになりまして、「美女舞踏」のほか、あの「獣魂」も併録いたします。
「獣魂」は、三上於菟吉が『世紀』大正13年10月号に書いたサルノベになります。『世紀』という雑誌は、同号が創刊号になりますので、そこに当時の流行作家であった三上於菟吉の作品を掲載することは、かなり売れ筋を狙ったものかと思われます。また、次号(大正13年11月号)には、千葉亀雄の「新感覚派の誕生」が掲載され、そこで『世紀』と同じ月に創刊された『文芸時代』の諸作家のあり方が〈新感覚派〉と名付けられました。これは文学史上、有名な話です。そういうトピックな雑誌に「獣魂」が掲載されていたのです。
さて、その「獣魂」ですが、今年1月の文学フリマ京都7で、おまけ小冊子として配ったものです。その後、BOOTHのヒラヤマ探偵文庫JAPANで販売しましたが、あっと言う間に売り切れてしまいました。評判もよかったので、今回、「美女舞踏」に再録することにいたしました。
ところで、「美女舞踏」のほうですが、これは『上毛新聞』大正12年1月1日付に掲載されたヘビノベになります。ヘビノベとは何ぞや? これは蛇にまつわるノベルになります。Heavy Novelではありません。わかりやすいお話です。短篇なので、内容は読んでのお楽しみに。このような作品を三上於菟吉が書くんだということを味わってください。以下に、初出「美女舞踏」の挿絵をあげておきます。
実は、この『美女舞踏』というパンフレットは、ヒラヤマ探偵文庫レーベルから新しく発行する〈大正時代の不思議小説パンフレット〉というシリーズの最初なんです。これは、大正時代に書かれた不思議な短篇小説を集めたもの。大正時代は、日本に入ってきた海外の文化が日本流にアレンジされて花開いた時代になります。文学の世界でも、作家たちが自分の作品を懸命に表現していました。わけの分からない作品も時々あります。が、しかし、不思議な感覚に満たされる作品を取り上げて、ここで紹介していきたいと思って製作してみました。これからも、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
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