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長田幹彦の『九番館』 その1

ヒラヤマ探偵文庫の国内作家紹介第一弾は、長田幹彦『九番館』(ヒラヤマ探偵文庫06)です。

長田幹彦は、大正時代の始めから昭和30年代まで活躍した大衆文学作家です。とくに大正から昭和初期にかけては、主な大衆雑誌で彼の名前を見ない日はありませんでした。それほど、人気でした。

人気の秘密は、男女の日常生活に潜む暗い感情をしめやかに描き出していたことにあるのかもしれません。特に、女性読者に大人気でした。

しかし、令和5年の現在では、図書館に行っても、なかなか長田幹彦の名前を本棚で見つけることはできません。時代の波に逆らえず、書庫へでも隠れたのでしょう。

ヒラヤマ探偵文庫では、そうした大衆文学作家の長田幹彦が描き出した探偵小説として、『九番館』という作品を取り上げました。この作品は、博文館の発行する『家庭雑誌』に大正91920)年6月号から大正101921)年5月号まで連載されたものです。

この時代は、第一次世界大戦が終わって、日本の好景気もしぼんでしまい、不景気になっていました。そうした時代を背景として書かれたのが、この『九番館』なのです。

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