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前回の記事でご紹介しました通り、「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」(中島河太郎、押川曠編、パシフィカ、1979年)を大いに参考にさせていただいています。
その中に、「ライヴァル紳士録」というページがありまして、たくさんのライヴァルたちが紹介されています。
1979年から現在の2023年、四十年余でどれほど紹介が進んだでしょうか。
(1)その筆頭に上がっているのが「セクストン・ブレイク」です。
一般出版社では、アンソロジーはともかく、一冊で出しているのは、ヒラヤマ探偵文庫だけですね。お買い求めは下の題名から飛んだリンク先でどうぞ。
「柬埔寨の月」
「謎の無線通信」
「ボンド街の歯科医師事件」
その次のページでは、
(2)ザレスキー公爵は、「プリンス・ザレスキーの事件簿」が出ました。
(3)クレイ大佐は、「アフリカの百万長者」が出版されました。
(4)ハガー・スタンリーは、私が訳した「質屋探偵ヘイガー・スタンリーの事件簿」です。
(5)ポール・ベックは、残念ながらいまだに翻訳は出ていないようです。
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ヒラヤマ探偵文庫のセクストン・ブレイク・コレクションは、加藤朝鳥訳の『柬埔寨の月』(ヒラヤマ探偵文庫19)から始まりました。「柬埔寨」は「カンボジア」と読みます。
セクストン・ブレイクとは、物語の主人公セクストン・ブレイク探偵のことをいいます。彼は、イギリスのシャーロック・ホームズと並んで、探偵小説ファンにはよく知られた存在です。ただ、セクストン・ブレイクは、数々の作家によって作られた物語の主人公であり、1893年に初登場して以来、1970年代後半まで、200~300人の作家たちにより、4000余りの物語が編まれたところに特徴があります。
SF小説におけるペリー・ローダンシリーズのようなものになっています。
今回紹介する『柬埔寨の月』は、加藤朝鳥が『週刊朝日』大正12年1月1日号から6月3日号にかけて、全二十三回で連載したものを単行本化したものです。原題は”Lost in Cambodia;The Case of the Photograph Collector”(The Sexton Blake Library Ser.1 No.257,October 1922)になります。
原作者は、ウィリアム・マレー・グレイドン(William Murray Graydon 1864-1946)。アメリカのペンシルベニア州で生まれた彼は、三十代前半に創作活動の拠点をイギリスに移しました。そこでセクストン・ブレイク作品を書き続け、1928年頃には、ブレイクの小説を100冊出版するという偉業を成し遂げました。
「柬埔寨の月」は、セクストン・ブレイク探偵の冒険譚といってもよいでしょう。旧都プノンペンの財宝が、稀代の大悪党バシル・ウィクショウたちに盗まれてしまいました。カンボジアのサナワト王はたいへん弱ってしまい、イギリスから大探偵セクストン・ブレイクを呼び寄せました。捜査を依頼して、財宝を取り戻してもらうためです。
元はと言えば、財宝のことを、ブレイクの友人でもあるマルコルム・グレーが、カフェーでべらべらとしゃべったことをウィクショウたちに聞かれたことが原因です。マルコルム・グレーは、ちょうどカンボジアから帰ったばかりでした。カンボジア王の姫ラオチバとのラブロマンスもあり、舞い上がっていたのです。
ブレイク探偵は、ロンドンでウィクショウたちを追い詰めますが、しかし逃げられてしまいます。結局、ウィクショウたちはカンボジアに財宝を盗みに行ってしまいました。
サナワト王に呼び出されたブレイク探偵と助手のチンカー。彼らのの大冒険がここから始まります。カンボジアの大自然を舞台に、彼らは飛行機に乗って大活躍をします。
どうです? なんだか、面白そうでしょう。
最後に、写真を二枚上げておきます。
一枚目は、『週刊朝日』連載一回目のページ。二枚目は、原作本の表紙です。
お買い求めは、BOOTH SHOP「ヒラヤマ探偵文庫JAPAN」からどうぞ。
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次にご紹介するのは、ヒラヤマ探偵文庫二冊目だった「インド帝国警察カラザース」です。
1906年のこの作品、植民地時代のインド帝国を舞台にした「シャーロック・ホームズのライバルたち」の一冊で、とても珍しいとおもいます。
こんな作品をどこで見つけたかというと、なんと
に掲載されていたのです。この時代にすでにご存知だった押川先生の慧眼に圧倒されます。
ご覧の通りです。
びっくりですね。
で、一生懸命探したところ、なんと復刻ファクシミリ版が2013年に発行されていたことが判明しました。
ハードカバーです。
中扉です。オリジナルそのまま、挿絵も入っています。できれば初出雑誌も知りたいところでしたが、さすがにそこまでは。
こんな挿絵が入っています。イギリス人のお役人が狼狽えています。
こちらは、カラザースに証言をするインド人。地べたに座っています。これを差別と見るか、インド人はこちらが楽なのかは、わかりません。
著者は実際にインドで警察業務に関わっていたそうで、他にも数冊著書があるようです。
残念ながらヒラヤマ探偵文庫は、売り切れになってしまいました。
重版の予定はありません。
現在販売している本も、残りがあと4、5冊というのもありますから、どうぞお買い逃しのありませんように。
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ヒラヤマ探偵文庫の最新刊は、ヘンリー・レヴェレージ、加藤朝鳥・平山雄一共訳の『囁く電話』(ヒラヤマ探偵文庫26)です。この作品は、加藤朝鳥が『新青年』大正11(1922)年1月号~4月号まで訳したのですが、そこで中絶してしまいました。しかし残りの部分を、平山雄一さんが訳して、現代に蘇らせたものです。時空を越えた翻訳コラボになります。新しい試みであると同時に、「翻訳とは何か」を考えるきっかけにもなるかもしれません。小酒井不木は、『毒及毒殺の研究』(『新青年』大正11年10月号~大正12年1月号)のなかで、「囁く電話」のトリックについて触れています。作品のキモをそのまま述べているのだから、はたしてそれで良いのか、悪いのか?アメリカではフォックス社によって、大正15(1926)年に映画化されていました。日本には昭和2(1927)年に入ってきています。ヒラヤマ探偵文庫版の表紙は、その映画のスチールから取ってみました。下の写真一枚目は、マグネー氏の書斎。二枚目は、マグネー氏の娘、ロリス・モントゴメリとメイド。映画では、ストーリーが改変されていて、ドリウ探偵の出番はなく、代わりにロリスの恋人のバリーが活躍する話になっているようです。お買い求めは、BOOTH SHOP「ヒラヤマ探偵文庫JAPAN」からどうぞ。