ヒラヤマ探偵文庫とは
日本は、世界中でも古今東西のありとあらゆるミステリが、簡単に手に入る国です。
アメリカもイギリスもヨーロッパも、日本では当たり前に文庫本で読める古典的なミステリの名作が、つい最近までことごとく絶版になっていました。
この素晴らしい環境をつくってくれたのは、推理小説作家の父ともいうべき江戸川乱歩でしょう。
乱歩は創作以外にも、推理小説の歴史研究や海外作品の研究など、熱心にミステリの普及に努めました。乱歩が作り上げてくれた環境を、今もわれわれは享受しているといってもいいのかもしれません。
しかしミステリの歴史を乱歩の視点から俯瞰したいわゆる「乱歩史観」に、われわれはいまだにとらわれているとも言えるのかもしれません。
乱歩の注目から漏れた作品も、数えきれないほど存在します。
その中には、本当は乱歩自身が影響を受けた作品も含まれているかもしれません。
そうした今まで日本には紹介されてこなかった海外の探偵小説、「乱歩史観」から外れて今では忘れ去られてしまった国内探偵小説を、ヒラヤマ探偵文庫は発掘し、ご紹介します。
ミステリの表通りでは目にしないさまざまな作品、玉石混交かもしれませんが、こうした作品を積み重ねることによって、現在のミステリにまで至っているのです。
翻訳小説担当 平山雄一
1963年生まれ、東京都出身。東京医科歯科大学大学院歯学研究科修了、歯学博士。
翻訳家、探偵小説研究家。
日本推理作家協会、「新青年」研究会、The Baker Street Irregulars, Sherlock Holmes Society of London 各会員。
訳書として『思考機械 完全版』『マーチン・ヒューイット 完全版』(作品社)、『フィデリティ・ダヴの大仕事』(国書刊行会)、注釈解説として『名探偵ホームズ全集』(山中峯太郎、作品社、全三巻)、編集協力として『明智小五郎事件簿』(集英社文庫、全十六巻)、小説および漫画原作として『明智小五郎回顧談』(ホーム社)など。
国内小説担当 湯浅篤志
1958年生まれ、群馬県出身。成城大学大学院文学研究科博士前期課程修了。
大正文学研究家。
日本近代文学会、日本文学協会、『新青年』研究会、各会員。
著書として『夢見る趣味の大正時代』(論創社)、編著として『森下雨村探偵小説選』Ⅰ~Ⅲ、J・S・フレッチャー著森下雨村訳『楽園事件』(論創社)、共編著として『聞書抄』(博文館新社)、編集協力として『新青年』研究会編『『新青年』名作コレクション』(ちくま文庫)、山下武編・須藤鐘一『女難懺悔』(本の友社)など。
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